(VOVWORLD) - 新型コロナの第2波に襲われたことをきっかけに、伝統音楽を活用して新型コロナ予防対策を訴える動きが始まりました。
ベトナムは音楽を新型コロナウイルスへの対応策として活用した初めての国で、国際世論の注目を集めました。ポップスを中心とした音楽は第一波抑制に大きく貢献したと言われています。新型コロナの第2波に襲われたことをきっかけに、伝統音楽を活用して新型コロナ予防対策を訴える動きが始まりました。
新型コロナに対応するTrong comを歌うアメリカ人歌手Kyo Yorkさん |
ベトナムでは、音楽が新型コロナへの対応策として活用される動きはベトナム保健省が2月23日に、ユーチューブで「嫉妬したコロナさん」を公開したことから生まれました。若者の人気バンドのヒットソング「嫉妬」を替え歌にしたこの歌は陽気なメロディーにウイルス予防対策の歌詞を合わせて、動画付きで子供にも分かりやすく、ユーモラスに紹介していました。それ以来、ベトナム国民を鼓舞した多くの歌が作曲され、新型コロナとの闘いに大きく貢献しました。また、この動きは多くの国に広がり、新型コロナとの闘いにおいて人を激励する効果を上げていると評されています。こうした成果は、7月中旬に起きた第2波に再活用されていますが、今回は伝統音楽も主要な役目を果たしています。
(テープ)
ベトナムの最も一般に浸透している民謡「Trong com」を替え歌にした「新型コロナに対応するTrong com」をお聞きいただいています。実はこの歌は4月の初旬に、作曲家クック・ダオ・ミンさんによって作曲されましたが、第2波が起きてからはマスメディアでよく流されました。この歌が人々の注目を集める理由は民謡「Trong com」の馴染み深いメロディーと合わせて新型コロナ予防対策を訴える歌詞であるだけでなく、アメリカ人歌手Kyo Yorkさんがベトナム語と英語で歌ったことにもあるとされています。この10年ベトナムで歌手としてのキャリアに取り組んでいるKyo Yorkさんは、「Trong comはベトナム人にとってお馴染みの歌で、そのメロディーは楽しくて若々しいので、疫病が流行っている最中でも、人々を鼓舞する効果がある」と述べました。
「新型コロナを撲滅しよう」 |
新型コロナをモチーフにした伝統音楽作品の中、ベトナム北部の独特な民謡「ハットサム」を基にして作曲された「新型コロナを撲滅しよう」という歌は国内世論の注目を集めています。「ハットサム」というのはベトナム北部独特の節回しの民謡で、封建時代に貧しい歌い手が都会の市場や辻でこれを歌い、門付けで暮らしていました。元々は、目の不自由な人がこの民謡を街中で歌い、生計を立てていました。市場や街頭などで、いわゆる路上のパフォーマンスでお金を恵んでもらい、暮らしていました。人生の不運や悲しみ、苦しみを歌ったり、また英雄を讃えたりする内容などがあります。悪を非難する歌詞などもあります。この民謡はユネスコ国連教育科学文化機関に対して、緊急に保護する必要のある無形文化遺産として認定されるための申請中です。
(テープ)
「ハットサム」を基にして作曲された「新型コロナを撲滅しよう」をお送りしています。この歌は、ソーシャルネットワークで流行っている若者の言葉をたくさん使っているから、特に若者の間で人気があります。また、ベトナム民族の団結と決意は新型コロナとの闘いに勝つ大きな力になるということは歌のメッセージです。「新型コロナを撲滅しよう」を作曲したグエン・クアン・ロンさんは次のように話しました。
(テープ)
「ハットサムでよく出てない「サムサイ」というメロディーを使いましたが、このメロディーは歌の楽しさを作りました。また、この歌のビデオクリップでは、北部の村の風景を撮影し、その風景は、一つになってすべての困難を乗り越えるというベトナムの良き伝統を象徴するものです。」
(テープ)
一方、伝統音楽を新型コロナ対策として活用する動きも国外在留ベトナム人に広がっています。お聞きいただいているのは、最近ドイツ在住ベトナム人のコミュニティーで流行っている「人情溢れるマスク」という歌です。民間に伝わる歌劇「ハットチェオ」を基にして作曲されたこの歌は、ベトナム人の団結と相互支援を讃えるものです。この歌を作曲したホアン・ティ・ズさんは次のように話しました。
(テープ)
「全世界が新型コロナ禍に苦労していますが、この禍を通じて、人間同士のつながりが浮き彫りとなっています。全世界のベトナム人は互いに助けています。私が住んでいるドイツでも、この動きは広がっています。これは、歌劇チェオの歌「人情溢れるマスク」の創作意欲となりました。」
新型コロナウイルスとの闘いが長引くかもしれないので、これからも伝統音楽は現代音楽とともに、その闘いにおいてより重要な役割を果たすことでしょう。